南北に細長いベトナム縦断の旅③
ミーソン遺跡~ホーチミン~ミトーまで
ホイアンでの宿泊は海岸沿いのビーチリゾートホテルだった。涼しい朝に外の空気を感じながらの朝食は格別。
ホテルを出発し、ミーソン遺跡へ向かう途中の朝の光景。やはりバイクが多い。
この日は、ホイアンから南西約40kmの内陸に位置する「ミーソン遺跡」へ。
4世紀~13世紀に渡りチャンパ王国の聖地として、この地に宗教建築が建設された。
チャンパ王国はインド文化とヒンドゥー教の影響を受けた国で、この建築群は王と一体化したシヴァ神を祀るために建てられた。
四方山に囲まれ、突如現れる朽ちた煉瓦造りの遺跡群はとっても神秘的。自然崩壊に加え、ベトナム戦争時に解放軍が基地として使用したことで、アメリカ軍の空爆を受けたため崩壊が進んだそうだ。
遺跡はいくつかのグループに分かれている。また、密林の中にはまだ未発掘の遺跡があると言われている。
遺跡の上に作業員が・・。
チャンパ王国を築いたのはチャム族、この石碑にはチャム語の碑文が残っている。
ここにもチャム語が刻まれている。
祠堂内には、見事な彫刻の数々が展示されている。右はベトナム戦争の不発弾だそうだ。
盗掘によるのか、それとも戦争によるものなのか? 頭がない像が多い。タイのアユタヤ遺跡を思い起こす。
右は子孫繁栄を願ったリンガとヨニ(男性器と女性器をかたどっている)。
煉瓦造りの建物群は接着剤を一切使わず積み上げて建てられているそうだ。見事な石像彫刻なども合わせ、当時の高度な技術を窺うことが出来る。1999年、ミーソン遺跡はユネスコの世界遺産に登録された。
帰り際、遺跡内の施設で定期的に開かれている「チャム族の民族舞踊」を見ることが出来た。
さて、ミーソン遺跡を後にして最後の滞在先「ホーチミン市」へ向かう。
ベトナム中部からホーチミン市までは、陸路をバスでひたすら南下する。ベトナムを南北に縦断する国道一号線だと思うが、道路の補修工事の真っ最中のような箇所が所々に見られた。何年か後には、この幹線道路は綺麗に整備されるのだろうと感じた。
車窓から見える風景は、青々とした水田や長閑な田舎の風景が広がっている。都市では見られないベトナムの光景を目にすることができて興味深かった。(2011年当時)
ホーチミン市に到着。
「統一会堂(旧大統領官邸)」を車窓から撮る。1975年4月30日、解放軍の戦車がこの官邸の鉄柵を突破して無血入城を果たし、事実上ベトナム戦争は終結した。歴史上意味のある場所。
翌日、メコンデルタの入口の町「ミトー」へ。ホーチミンから車で約2時間。
ミトーへ到着すると、木造船に乗って中州の島へ向けて出発。
メコン川には大型船も行き交う。
この人は、確かホーチミンの現地ガイドさん。
島内では豊富な南国のフルーツやココナッツキャンディなど名産品が売られている。
島内を移動中見られるフルーツ。
カットフルーツを食べながら、伝統音楽の鑑賞。
民族の歌を披露するアオザイ姿の女性が美しい。
その後、ニッパヤシが茂る細い水路を手漕ぎボートで「ジャングルクルーズ」。
クルーズ後、船で戻ってレストランで昼食。
ミトー名物「象耳魚(エレファントフィッシュ)」のから揚げ「カー・タイ・トゥオン」。係の女性が魚の身を解し、野菜と一緒にライスペーパーに巻いてくれる。
餅を丸く揚げて甘く味付けした「ソイ・チン・フォン」。外はカリッとして内側はモチモチしていた。どれもこれも美味しかった!
昼食後は、再びバスに乗り「ホーチミン市」へ戻って市内観光。
「サイゴン大教会(聖母マリア教会)」、19世紀に建てられた赤レンガ造りの教会。
サイゴン大教会の横にある「中央郵便局」。19世紀末のフランス統治時代に建てられた。細かい飾りが随所に見られ、建築文化財としても貴重な建物だそうだ。
郵便局の内部はアーチ型の天井。床の模様も綺麗。
ゴールデン・ドラゴン・ウォーター・パペット・シアターにて「水上人形劇」を鑑賞。
ベトナム伝統楽器による演奏に合わせて人形劇が繰り広げられる。
人形師は簾の後ろで人形を繰っている。人形の表情や動きは、ユーモラスで可愛い!
この水上劇は1000年も昔から伝わるもので、元々は農民達が収穫の祭りの時などに屋外の水辺を使って演じていたそうだ。ハノイの代表的なエンターテイメントだが、ホーチミンでもこの劇場で見ることが出来る。
劇場の入口付近にいたアオザイを着た女性。頭に被っているものは、「カンドン」と呼ばれる帽子。アオザイを着る時の正装の帽子だそうだ。
この他、有名な「ベンタイン市場」へも行ったが、写真を撮っていなかった。
ホーチミン市で最も楽しみにしていたのが、「ドンコイ通り」の散策。ところが、午後行った大きな土産物店での滞在時間が大幅にオーバーして、予定にあったフリータイムがなくなってしまった。団体旅行では時としてこんなことがあるので、本当に残念!
この日、夜の便で帰国した。
(終)