エキゾチックで多彩な魅力をもつ国 モロッコ①
初めてのアフリカ大陸
最近アフガニスタンのニュースをよく目にするせいか、今までに訪れたイスラム教の国々を思い出す。イスラム教の国というと、中東というイメージが強い。でも、実際のところ世界で一番イスラム教徒が多い国はインドネシア、次いでパキスタンだそうだ。また、ヒンドゥー教の国というイメージのインドもイスラム教徒が多く、意外にもアジアに多いのだ。
北アフリカの西端にあるモロッコ、国民の殆どがイスラム教スンニ派だそうだ。
そのモロッコへの旅は、私にとって初めてのアフリカ大陸への旅でもあった。(2013年12月)
さて、モロッコの到着地カサブランカの空港出口付近で、私達に「じゃーね!」と言わんばかりに、にこやかに手を振り嬉しそうに去って行ったモロッコ人男性がいた。彼は成田空港の搭乗口の待合室からずっと一緒だった人だ。途中乗り継ぎがあったが、そこからも一緒だったのだろう。初めての国に対する警戒感や緊張感みたいなものは、そんな愉快な人によって一気に無くなってしまったように感じた。
空港からバスで最初にモロッコの首都「ラバト」へ向かう。
途中の景色。
大西洋沿いに北上して行く。
陽が大分傾き始めた頃、城壁で囲まれた「ラバト」の中心部へ入ってきた。その日はラバトに宿泊。
翌日は、ラバトの新市街に位置する「ムハンマド5世の霊廟」と「ハッサンの塔」の見学。
1961年に完成した「ムハンマド5世の霊廟」↓ 左右均整のとれた白亜の建物で緑色の三角屋根が特徴。四方の出入口には、真紅の衣装を纏った衛兵が霊廟を守っている。
ムハンマド5世は、フランスの植民地だった当時のモロッコを独立に導いた王で、今でも国民的英雄である。
衛兵さんと一緒に記念撮影も出来る。衛兵さんの背後の扉も素晴らしい模様が施されている。
霊廟内部の見学。
繊細な幾何学模様の装飾とステンドグラスも嵌め込まれた素晴らしい天井。金色のライトが輝いている。
モザイクタイルの装飾。
中央に置かれた白大理石のムハマンド5世の石棺。
霊廟と同じ敷地内にある「ハッサンの塔」↓
「ハッサンの塔」は未完成のミナレット。1196年にムワッヒド朝のヤークブ・マンスールがモスク建設に着手したが、その4年後彼の死亡により工事が中断してしまったそうだ。実際の高さは88mになるはずだったが、未完でも44mもあるムーア様式の代表的な建築物である。
首都ラバトは、ヤシの並木や緑豊かな公園が広がる静かで落ち着いた雰囲気をもつ町だ。そのため「庭園都市」とも呼ばれている。
中心部は城壁で囲まれ、旧市街(メディナ)は、12世紀に築かれたアラブ系の街。新市街は、20世紀前半フランス人によって築かれたヨーロッパ風な街並み。このような歴史的都市と近代的都市が共存する首都として世界遺産に登録されている。
魅力溢れるラバトの街をもっと見たかったが、タイトな私達のツアーは、次の観光スポット「ヴォルビリス遺跡」へ向かう。
モロッコ最大のローマ古代遺跡「ヴォルビリス遺跡」。
ヴォルビリスは、ローマ帝国時代の西限に位置する重要な都市であったそうだ。
約2000年前の巨大な建築物や美しいモザイク画が見られ、広大な敷地に素晴らしい保存状態を誇る遺跡は、1997年にユネスコの世界遺産に登録された。
小高い丘を見上げると、左側に「キャピトル」、右側に「フォーラムとパシリカ礼拝堂」が見える。
「キャピトル」はゼウスを祀る神殿。修復された柱が残るのみとなっている。
「フォーラム」とはローマ都市では常に中心におかれ、市民の集会所となったところ。
「パシリカ」は裁判や公的な会議、集会や時に市場としても使われた。キリスト教普及後は教会施設となる。
遺跡内の見学開始。モザイク画の数々は大変保存状態がいいのに驚いた。
「ヴィーナスの家」、綺麗なモザイク画が見られる。ダイアナ(アルテミス)がニンフと水浴をしているところを、人間の狩人アクタエオンに見られてしまうという逸話が描かれている。
メインストリートの「デクマヌス・マクシムス通り」と「タンジェ門」↓
豪邸が立ち並んでいた「デクマヌス・マクシムス通り」、この中央の敷石の下には、下水道の設備が整っていたそうだ。
タンジェ門は、この街の北東方向に位置している。
「ディオニュソスと四季の家」、ワインの神様ディオニュソス(ローマ神話)をモチーフにしたモザイク画。この地域ではワインの製造もされていた。
「ヘラクレス功業の家」、ヘラクレス12功業のモザイク画が描かれている。
「騎士の家」、バッカスと恋人アリアドネ。ギリシャ神話の一場面が描かれている。
「カラカラ帝の凱旋門」、デクマヌス・マクシムス通りの西側端にある。
真っ直ぐ伸びる「デクマヌス・マクシムス通り」と「カラカラ帝の凱旋門」。
「パシリカ礼拝堂」↓
「浴場跡」↓
お風呂の入り方を実演してみせるモロッコ人のおじさん(アシスタント)。
日時計↓だったかな?
「オリーブ圧搾工房」(製油所)
この遺跡や周辺には、春になると色とりどりのお花が咲き乱れるそうだ。12月のこの時期でも可憐な花が咲いていた。
この遺跡に生えていた植物。最近スーパーに売っているアイスプラントによく似ている。
ほぼ同時にこの柱の写真を撮っていた。この植物と関係があるんだろうか? もしかして現地ガイドさんから何か説明があったのかもしれないが、全く記憶にない。
この遺跡から約3.5㎞のところにある「ムーレイ・イドリス」↓
山肌にへばりつくように白い家並みが広がる、「聖者の街」といわれる古都だ。
イドリス1世がアッバース朝での勢力争いに負けてモロッコに亡命し、この近くのベルベル人の助けを借り、モロッコで初めてイスラム王朝イドリス朝を打ち立てた(8世紀)。彼は現在でもモロッコで崇められている聖者(ムーレイ)の一人だ。
この町の中心には彼の霊廟があり、モロッコ全土から巡礼者が集まってくるそうだ。
何だかとっても神秘的な町!
ヴォルビリス遺跡からも「ムーレイ・イドリス」が見えた。中央の白く見える所。
この後は「メクネス」へ移動。②で紹介します。