yuanzi の徒然日記

G.G.世代旅好きオバサンが綴るブログです

ゴールデンウイークの読書

宋家の三姉妹

 

5月の連休中に『宋姉妹』を読んだ。

三年前に母が亡くなった後、実家の母の部屋を整理していたら出て来た文庫本。どこかで見覚えがあるなと思ったら、私が母にあげたものだった。

それを持ち帰って本棚の隅に置いたままになっていたので、暇に任せてGWに読み返してみた。

 

「昔、中国に三人の姉妹がいた。一人は金を愛し、一人は権力を愛し、一人は中国を愛した」というフレーズがある。この三姉妹を、これ以上ないほど上手く言い表したフレーズだと思う。

 

19世紀の終り頃、三姉妹は生まれた。長女は宋靄齢、次女は宋慶齢、三女は宋美齢と名づけられた。財閥・宋嘉樹(宋耀如)の娘として生まれた三姉妹は、アメリカへ留学し豊かな青春時代を過ごした。

 

「金を愛した」と言われる長女靄齢は、孔子の子孫を称する大富豪の息子・孔祥煕の妻に。「中国を愛した」とされる次女慶齢は、中国革命の父孫文の妻に。「権力を愛した」三女美齢は、後の中華民国総統蒋介石の妻になったのである。そしてこの後、彼女たちは激動の中国近現代史を動かす存在となっていく。

 

先ずこの三人の夫たちの名前を聞いただけでも、中国史上に名前を連ねる大物揃いで驚く。

そして、妻は表舞台に立たず夫に対して内助の功を果たすべき、それが日本人女性の美徳のように知らず知らず教育されてきた私には、只々驚嘆することばかりだった。

 

この三姉妹のストーリーは、映画『宋家の三姉妹(原題:宋家皇朝)』にもなった。この映画は日本と香港の合作映画だったようだ。

宋慶齢役にマギー・チャンがなったことだけは覚えている。正直、他の俳優は私の知らない人ばかりで、それほど印象に残る映画ではなかった。それ以前に本を読んでいて、本から受けるインパクトの方が大きかったからかもしれない。

 

ところで、香港の女優マギー・チャンは『ラブソング(原題:甜蜜蜜)』という映画で、レオン・ライと共演している。私はこの映画が好きで何回も見ている。この映画の背景にテレサテンの曲の数々が流れている。テレサテンの歌声が好きでこの映画が好きになったということもあるが、この映画の魅力はそればかりではない。

 

昨夜、久しぶりにテレサテンのCDを聞こうとキャビネットの引き出しを開けたら、『ラブソング』のDVDがあるのに気づいた。すっかり忘れていた。

何だか艶めかしいジャケットだけれど、内容は純粋なラブストーリー。

 

この映画の時代背景は香港返還以前で、中国本土から香港へ夢を抱いて出て来た二人が出会うという設定。中国本土から出て来ていることを隠しつつ、二人は互いに惹かれ合っていく。色々な仕事をするレイキウ(マギー・チャン)が、中国本土で人気があるテレサテンのカセットを売る場面がある。ところが、大陸の人間だとばれるので買う客がいない。その時代は、未だそのような時期であったという事もこの映画の見所かも。そして、二人の俳優は特に目立った美男・美女ではないが、それが却ってこの映画の魅力ではないかと思う。

その後、紆余曲折があり、出会いから10年を経て二人はニューヨークで再会する。折しもテレサテンが急死したニュースがテレビ画面で流れていた。街頭でショーウィンドウ越しに、それを見ているところで再会するのだ。出来過ぎた設定だが、最後にほっとするところがいい。

 

ところで、昨日5月8日は、奇しくもテレサテンの命日だった。それは、今朝たまたま読んだ記事で知ったことで、全く偶然!

 

※このブログをアップした時は日付が変わってしまいました。

テレサテンは台湾生まれですが、両親が戦後に台湾に移って来た外省人です。そのため大陸で人気が高いです。